第4章 しょっぱい乙女、爆誕
「ようこそおいで下さいました。銀の乙女」
は、今なんと?
「今日から貴女の二つ名になりました」
司教様がにこにこしている。
「事あるごとに『異世界から女性』なんて呼ばれ方も嫌かと思いまして。便宜上でも必要かと思って名づけました。なかなか美しい響きだと思いませんか?」
思わん!
それはあれか、髪を銀色にした私への嫌味かッ!
ついでに言うと残念ながら乙女ではないッ!
クライブさんも「さすが司教様」とか言ってんじゃないよ!
ここの世界の人は一事が万事こうなのか。
「さ、銀の乙女よ。貴女のこれ以降の身の振り方なんですが」
軽く咳払いをして司教様は話を続ける
「実はこの城の王は今不在でして。隣国に外交に出かけております。急ぎで帰ってくるよう伝令を飛ばしましたが、それでも数日の間は開くでしょう。
王を差し置いて貴女の存在を表に出すわけには行きませんので、もう少々客間で過ごして頂きたいのです」
「それじゃあ司教様、私、お願いがあります」
昨日の夜、寝ながら自分の身の振り方を考えていたんだけど、
この世界では自分で事を起こさないとなすがままに成ってしまう。
とにかく受け身のままにはならない、という決まりを私自身に設けた。
「それじゃあ王様が帰ってくるまでの間、この国について学ばせてください」
司教様が目を丸くしてこちらを見ている
「その、いつまでこの世界に私がいるのかはわかりません。でも、だからって流されるままっていうのが嫌なんで、せめてここがどんな世界なのか、私の世界とどう違うのか、色々知りたいです。一方的に聞かれるままっていうのは嫌です」
「銀の乙女・・・」
司教様がなんか超びっくりしてる。
もしかしてマズい事言った?
司教様の口元がゆるみ、クックッと笑いが漏れている
「・・・良いでしょう、アリーチェ様。ではこの国一番の家庭教師を部屋に付けましょう。でも、それよりも先にやらねばならない事があります」
「何でしょうか?」
「アリーチェ様、まず服を誂えましょう。銀の乙女がそんな恰好ではいけませんよ」
漏れた笑いを隠そうともしない司教様に言われ
思わず自分の服装を見下ろす
昨日のすったもんだで汚れた服。
よく考えたらこの格好はこの世界では異質かも。