第6章 distance
「しょ、……翔!行かないで‼…俺を捨てないで⁉翔!翔!」
翔「……潤!潤‼」
身体を揺さぶられる感覚がして、目を開ける。隣で、翔が、上半身を起こして、俺を見てくる。
夢、、、か? はぁ、良かった…。現実なら、耐えられない。翔が、俺から、去っていくなんて…。
翔「すっごい、うなされてたよ?」
翔が、俺の顔を覗き込んできた。
「夢、見てた…。翔が、俺と別れて、大野さんと付き合うって。それで、息が出来なくて…。あー、夢で良かった…」
翔「潤…。馬鹿だな。俺が別れるわけ、ないでしょ?それに、大野さんのことは尊敬してるけど、恋愛感情は無いよ。俺は潤を愛してるんだから」
そう言って、俺に抱きついてきてくれる。
付き合って、8年になる。でも、俺はずっと、不安で仕方ない。翔が俺にだけじゃなく、男女関係なく優しいから、すごくモテる!
当の本人は無自覚で。俺の恋人だぞーって、言ってやりたい!
だけど、俺たちはアイドルだから。ファンにバレないように公の場では、なるべく距離を置く。
俺だって相葉さんやニノみたいに、翔とイチャイチャしたい!
番組で、「仲悪そう」って、言われてさ。結構ショックだったんだ。顔に出さないようにするの、大変だったんだぜ?(笑)
「翔。疲れてる…かも、だけどさ。あの、その…」
翔「シタいの?いいよ。疲れなんて潤と居たら無くなるよ。俺も、シタいし…ね」
顔、真っ赤。
ほらね。自分のことより俺を優先させるんだから…。俺を甘やかすんだから。もう、翔無しでは、生きていけないや…。
俺は、翔の言葉に甘えて、外が明るくなるまで抱いた。翔が意識を無くしても、抱き続けた。何回抱いても、不安は消えてくれない。
翔は、俺だけって言ってくれるのに…。