第3章 シグナル。
………♪♪♪
「う~ん。もう、朝?」
目覚まし時計の音で、起きる。俺の隣でスヤスヤと寝ている二人。そっと、起こさないように、ベッドから出る。
和「……あ、おはよう、智兄」
モソモソと、弟の和也が起きてくる。まだ、真ん中で、寝ている小さな寝息に、二人で、ホッとする。
和「可愛い。相変わらず、翔は、寝相悪いね。ふふ」
そう言うと、一番下の弟の翔に布団を掛けてやっている。翔は、もう5才になるのに、俺たちと一緒じゃないと寝れない。末っ子の甘えん坊だ。ま、俺たちもついつい甘やかしてしまうんだよなぁ。年が離れているから、ってのもあるかもな?
「もうちょっと、寝かしとこう」
和「うん。そうだね」
二人で、音を立てないように、寝室から出た。
「和也。父ちゃん、起こしてきて?今日は早く会社に行かないと、って言ってたから」
和「オッケー!そのあと、俺洗濯するわ。智兄、朝メシ、頼んでいい?」
「ああ、わかった」
俺たちは、男4人で、暮らしている。母ちゃんは、3年前に交通事故で居なくなっちまった。俺は17才、和也は14才、翔は2才、だった。翔は、母親の葬式の間中、キョトンとして俺の足にしがみついていた。大きな目が、キョロキョロしていた。
それから、ずっと俺と和也が、母親代りをしてきた。俺たちも、翔が可愛くて、可愛くて…。
父ちゃんは、母ちゃんが居なくなってから、ボーッとすることが多くなった。最近、特に。二人、仲良かったからなー。