第11章 僕は、便利屋。⑤
ニノが助手席に座っていた。
俺におんぶされている翔を見て
和「はあ~…やっぱりか…。遅いからそんな事だろうと思ってましたよ」
ニノがあからさまに不機嫌な顔をした。
相葉さんが「まあまあ…」と宥めてくれたけど。
またニノを怒らせちゃったな…。
「面目ない…」
和「あんたねえ…まったく。翔ちゃんはこんな奴のどこがいいんでしょうね?」
~なんて、行きの時と同じく家に帰りつくまでグチグチと言われた。
はあ~、勘弁してくれ…。
でも、なんだかんだ言いながらも翔がゆったりと寝れるように助手席に座ってくれたこと。
こんな俺でも…気が付いてるよ。
「ニノ。ありがとな…」
ニノは「気持ちわるっ!」って悪態吐きながら帰って行った。
グッタリとなっている翔をベッドに寝かせた。
「今日はごめんな?無理させた…よな?」
翔はフルフルと首を振って二コリと微笑んだ。
「翔…マジでごめんな。それに俺、実は翔の誕生日知らなくて松兄ぃに教えてもらったんだ。こんなんで恋人って言えないよな…はは…」
俺、情けねえ…。
翔が上半身を起こして項垂れる俺を抱きしめてくれた。
翔は『智さんは悪くないです。僕が言ってなかったのがダメなんです』と言ってくれた。
翔の腕の中から離れて、
「翔はダメなことない。俺が…聞かなかったのが悪いんだ…」
言いながら益々落ち込んだ。
そんな俺に、翔は頬にそっと口付けてくれて『誕生日は祝ってもらったことがなかったから…こんなに嬉しいものだって知りませんでした。今日はありがとうでした』と笑ってくれた。
翔…。