第8章 若葉のころを過ぎても
【S】
父さんたちの動向を探るためとは言え、大野くんのやり方はちょっと横暴だよ?
ホテルの人も、すごい剣幕に気圧された感じだった。
俺も、大野くんがこんなにも強引な面があるなんて、ただただ驚いた。
大野くんが少しは加減してくれていたのか、殴られた腹の痛みが引いてきた。
父さんたちが部屋に入る前の会話の内容は、とっても気になるところだけど、もう、一刻も早くここから立ち去りたかった。
“知らぬが仏”と言う諺もある。
大野くんに帰ろうと言ったら、まだ居たいなんてバカなこと言うから。
俺は、一人で先に帰ろうとしたんだけど…。
今のこの状況を、自分の中で整理してみた。
いくら考えてみても、何で?しか浮かんでこない。
智「翔。気持ちいい?」
大野くんが、俺の体をねっとりと舐め回してくる。
気持ちいい?
そんなこと…思えるわけない。
大野くんの問いかけに答えず、唇を噛み締めて耐える。
でも、男の体は触られれば反応するわけで。
ダラリと萎えた中心部分に触れられて、ピリッと電流のようなものが走った。
初めての感覚だった。