第8章 オオカミ王子 ♥︎ 〜月島蛍〜
心は無理やり僕の事を自分の方に向けて、それから…ぐ、と唇を押し付けてきた。
『わ…私だって…蛍くんに恋、してる…から、その…』
何したって、嫌いにならないもん。
泣きそうな声でそう言われたら、もう。
僕の我慢なんて、意味を成さない。
性急に心の唇に吸い付いて、深く舌を絡める。
唾液がこぼれることなんて、気にしない。出来ない。
僕の舌を緩く押し返す心の舌を追いかけて、吸って。
『ん、にゃ…っ…ふ、ぅ…』
心の飲み込みきれなかった声が彼女の鼻を抜けていく。
それが、僕の体を余計にあつくする。
「っ…心…」
ブラウスの上から緩く胸をまさぐると、彼女の口からはあ…と小さく息が漏れた。