第7章 今日は彼女の誕生日 ♥︎ 〜黒尾鉄朗〜
初めて逢った時は…私の中ではチャラい人、の一言だったな。
腰パンだし、良いように言えばフレンドリー、悪く言えば軽い話し方。
…いきなり、私のことを
「心」
って、呼ぶところ。
ほんと、はじめは凄く苦手なタイプだった…。
湯船に浸かりながらそんなことを考えていると、浴室のドアがノックされる。
「心〜、やっぱり俺も入る〜」
『…はぁ、分かったよ、おいで』
そういうとドア越しにクロの影がるん、と嬉しそうになったのが分かった。
「おっじゃましまーす」
『はーい、邪魔はしないでね〜』
クロが入ってきたのと入れ替わりで、私はバスタブから出て、シャワーの蛇口を捻る。
「なぁ、心ー?」
『ん?』
髪をゆすいでいると、クロが少し退屈そうに話しかけてきた。目を開けることが出来ないので、目を閉じたまま返事をする。
「俺の髪も洗って」
『…はい?』
髪をゆすぎ終わって、顔を上げると。
「洗って〜」
と言いながら、私に頭を向けるクロ。
『…でっかい犬拾った気分…』
しぶしぶクロの髪を濡らしていくと、満足そうに笑う声が聞こえた。