第5章 Sugar honey* ♥︎ 〜月島蛍〜
家に帰ってから、改めて貰った紙袋を手に取る。
よく見たら、消しゴム以外にも何か入っているみたいだった。
それは小さく折りたたまれたメモで。
女の子らしい少し癖のある文字で、SNSのコードが書いてあった。
すぐに携帯のロック画面を開いて、結木に連絡を取った。
数分もたたないうちに、返事が返ってくる。
『こんばんは♪メモ、気づいてくれたんだね!良かった〜』
消しゴムの猫と同じスタンプが送られてきて、思わず笑ってしまった。
「この猫、好きなんだ?」
『あっ…うん、すきだよ〜ちょっと目つき悪いのが可愛いでしょ♪』
月島くんに、似てると思う。
次に来た文字に、固まる。
この猫が僕に似てる?
『あっ…ごめん、嫌味とかじゃないよ!』
急に僕の返事が止まったのが不安になったのか、結木が必死に取り繕っている。
「…馬鹿じゃないの…」
心臓がひどく高鳴って苦しい。
1度だけ深く深呼吸をしてから、返事をした。
「なにそれ、僕のこと好きとか?」
すぐに既読はついたけれど、その日結木からのメッセージは返ってこなかった。