第5章 Sugar honey* ♥︎ 〜月島蛍〜
それからというもの、僕の目はいつも結木のことを追いかけるようになってしまった。
前から、思っていたけれど…結木は観察していて面白い。
ころころ変わる表情は見ていて飽きないし、ふらふらと歩くからすぐこけそうになるのも、まぁそれはそれで…おもし、ろ…い…かな。
よくよく見ていて分かったことだけれど、結木は授業中以外は、いつも飴を舐めていた。
あの日僕が注意したからかな、棒付きキャンディをくわえずに、舐めてるところをよく見る。
「…舐めるなら、棒付きにしなきゃいいのに」
「ツッキー?どうしたの?」
部活からの帰り道、ふと口にしてしまった言葉に、山口がきょとんとした顔をして、僕を見た。
「…なんでもない」
そのままふいと目をそらして、ため息をついた。
……どうして僕が学校の帰りまで、君のことを考えてなきゃいけないわけ…。
馬鹿みたい…。
それでも考えてしまうのは、もうやっぱりそうなんだよね。
認めたくなんてない、君みたいな…鈍感で、ふわふわしてて…。
だけどだって、なんだか放っておけない雰囲気を出してくるから。
この僕が、君を好きになった、なんて…。
似合わない、僕に…こんな甘い感情は。