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Love Delusion…

第1章 ヘタレ王子 〜月島蛍〜


適当にパーカーを羽織って、母さんに心が泊まりに来ることを伝える。

もっと早く言えば晩ご飯を奮発しただの言われたけど、そんなこと知らないし。

まだ何かぶつぶつ言ってる母さんを放ったまま、僕は心の家へと向かった。


チャイムを鳴らすと、数秒もたたないうちに心が出てきた。

『蛍くんっ、早いね!』

「君の方が早いから…。
もしかして、玄関で待ってたの?」

『そう!凄いね、なんでわかったの?』

「わかるよ、心のことは、だいたいね」

…君はなんにもわかってないけど。

ぼそりと呟いたそれは、きっと心には聞こえていないはず。
馬鹿みたいな笑顔を僕に向けたまま、早く早くと、まるでおやつを待つ子どものように移動をせがむ。

「……はいはい、移動するよ」

『わーい!!』

本当に寝にくるだけのつもりらしく、心は手ぶらで僕の家に来た。

『おばさん、おじゃまします』

母さんに挨拶をした彼女は、一目散に僕の部屋へと向かった。

…僕より先に部屋に行くとか、ほんと
なんと言うか。

「全く、心らしいよね」

僕が部屋にたどり着いた頃には、心は僕のベッドに潜り込んで、スマホをいじっていた。

『えへへ〜、お先です!』

「お先ですじゃないよ、全く」

心といると、気疲れする。
パタパタと動く足が布団と、心の短パンの裾を乱し、心の太ももがちらちらと見える。

「ちょっとは女らしくしたらどうなの…」

心を好きな僕の身にもなって。
心の中でそう付け加える。
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