• テキストサイズ

Love Delusion…

第1章 ヘタレ王子 〜月島蛍〜


今日は土曜日。

バレー部の練習が終わって、自分の部屋でいつものようにヘッドホンで音楽を聴きながら、バレー雑誌を読んでいると、誰かから電話がかかってきた。

その人だけ、着信音を変えていたから、すぐにわかった。
画面を覗くと、案の定。

幼馴染の結木 心からだった。


『蛍くーーんっ?今何してた??』

「……別に、何でもいいデショ」

ぶっきらぼうに返すと、電話の向こうで心がくすくすと笑っているのがわかる。

「…何笑ってんの」

『いやー?…きっと、音楽とか聴きながら、雑誌読んでたんだろうなーって、思って!』

「うわ、怖っ…」

自分のしていたことを見事に当てられて、僕は眉間にしわを寄せながら、電話の向こうの心を罵る。

『あー…いま、すっごい嫌な顔してるでしょ〜
蛍くんのことは、何でもわかるんだから!』

……ほんとに?
僕のこと、わかってる?

少しだけ、もやもやとした気持ちのまま、心の話を聞き流す。

『…でね!いまから蛍くんの家、お泊まりに行くから!!』


「………ん?何、なんでそうなるわけ」


どうやら、心の話によると、今日は親が出張で家にいないから、ひとりで寝るのが寂しくて、僕の家に来たいんだそう。

『ねっ、ねっ、お願い!
コンビニでケーキ買っていくから!!』

「…はぁ、そんなの要らないよ。
夜に出かけるとか、危ないデショ…」

深くため息をつく。

「もうわかったから、家にいて。
隣だとはいえ、夜なんだから」

心にそう言って、電話を切った。
全く、手のかかる幼馴染みだ。
/ 222ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp