第3章 ロールキャベツ男子 ♥︎ 〜菅原孝支〜
『…私、菅原先輩は…もっと爽やかだと思ってました』
「えー…なんか、悲しいべ?」
ゆっくりと彼女を押し倒す。
ふわりと、シャンプーの香りがした。
『ふふ、ロールキャベツみたいです』
「…ん?」
ロールキャベツ???
なんで今そんな話?
『だって…草食に見えて、実はこんなふうにどろどろの欲望に塗れた、肉食さんだったんですもん』
俺の下で、結木が笑う。
ふわふわと、いつもの笑顔。
「そんな、余裕だして…俺、知らねぇべ…?」
ちゅ、と口づければ、吐息が漏れる。
結木の口元が弧を描くのが分かった。
『…先輩も、勘違いしてません?』
私が、馬鹿だって。
そう笑った結木は綺麗だった。
たべたい。
素直に、そう思った。
「…結木…、して、いい?」
『いい、で、ふ……んっ、んん…』
答えを聞く前に、深く口付ける。
飲み込みきれなかった唾液がこぼれていく。
舌って、こんなに…甘いんだ。
『…っ、もっと……』
結木が俺の首に手を回して、抱き寄せてくる。
それに応えようと、もっと深く、舌の裏まで…緩く、緩くからませた。
「……結木…、すき……好きなんだよ…」
彼女の身体を撫でながら、気がついたらそんなことを言っていた。
しまったと思った。
こんな中途半端なことをしておいて、何が好きだ。
自分でもおかしいと思う。
だけど、彼女は何も悪いことは言わなかった。
ただ一言。
『…私もです』