第18章 Graduation… ♥︎ 〜大将優〜
『…部活、行かないの』
いつまでも後ろの席でスマホの画面を睨んでる彼に、声をかける。
「あー…や、うん、行くつもり」
『そ…』
行くなら早く行って欲しい。
ずっと後ろに座られていたら、気が散って仕方ない。
何もしてないけれど。
しばらくじっと彼が移動するのを待ってたけれど、一向に動く気配がない。
堪らずに立ち上がって、教室を出ようとすると、呼び止められた。
「あっ、結木…」
『なに』
振り向くと、大将くんの赤い顔。
…何、なんなの。
「あのさ、隣のクラスの英愛ちゃんって…知ってる?」
『…仲良いけど』
「英愛ちゃんのこと、教えてくんない?」
『は?』
突拍子もない言葉に、ショックも何もなく、ただ呆然と大将くんを見つめることしか出来ない。
……私、あんたのこと好きなんだけど。
そんな事言えるわけもないし、どうしようと考えを巡らせていると、大将くんから何かメモを握らされた。
「少しずつでいいから!」
大将くんは半ば無理やり私にメモを押し付け、さっさと教室を出ていった。
そこには、きっと彼のものであろうアドレス…。
そして一言、頼んだの文字。
私は…彼の恋を応援することになってしまった。