第18章 Graduation… ♥︎ 〜大将優〜
学校へ通うのも、後1ヶ月もない。
通い慣れた道も、もうすぐ通らなくなる。
少しずつ大人の階段を登って、気が付けば18歳。
3年間なんてあっという間だった。
『…寒いなぁ』
登校時間よりもかなり早く着いた教室。
窓際の、後ろから二つ目。そこが私の席。
もうすぐ私じゃない誰かの席になるけれど。
ゆっくりと椅子に腰を下ろしてから、机にカバンをかける。体を倒して机に突っ伏すと、木の匂いが鼻先を掠めていった。
『……つめたい…』
「何してんの…」
声のした方に目をやると、教室の入口から呆れた顔でこっちを見る大将くんと目が合った。
『…何も』
体を起こして、マフラーを解く。
ひざ掛け代わりに足に被せて、また突っ伏した。
「へ〜…」
あんまり興味の無さそうな返事が真後ろから飛んでくる。彼の席は私の後ろ。
「自由登校だってのに、熱心だな」
『…あんたも同じでしょ』
「俺は部活」
「ソウデスカ」
可愛くない返事。
…いつものこと。
きっと大将くんは、私のこと…ただのクラスメイトとしか、認識していないんだろうね…。