第13章 今日は彼の誕生日 ♥︎ 〜黒尾鉄朗〜
そのまま気を失ってしまってたみたいで、目が覚めるといつものように私の体もベッドも綺麗になっていた。
「はよ」
『おはよ…いつもありがと、ごめんね?』
「大丈夫大丈夫、気にすんな!」
そう言って笑うクロにつられて、私も笑顔になる。
『あ…そう、クロ…?』
「ん?」
ベッドから立ち上がり、持ってきた荷物の中からクロへの誕生日プレゼントを取り出す。
『お誕生日、おめでと…遅くなったけど』
「…ありがとな、すっげ…嬉しい」
クロがいそいそとラッピングを剥がしていく。
中身は、この前クロが欲しがってたキーケース。
「心、お礼って言っちゃなんだけどよ?」
『…ん?え?お礼?』
クロのその言葉に、私はきょとんとしてしまう。
お礼、って?
『クロの誕生日でしょ…?』
「そう、俺の誕生日。…だから、俺のわがままひとつ聞いて?」