第2章 雨と涙は同じ色 〜黒尾鉄朗〜
次の日も、その次の日も。
私は黒尾くんに話しかけることなく、生活していた。
開き直ってしまえば簡単なもので。
授業中に聞こえる彼の声も、休み時間に見える笑顔も、全部あの子のものなんだって、思うようになった。
変わったことなんて何も無い。
始まってすら、なかったんだから。
今日も私は図書室へ足を運ぶ。
窓際の奥の席。
もう、彼を追いかけることをしないと決めたはずなのに、習慣になったそれは酷く心が痛む。
ため息をひとつ、私は椅子に腰を下ろす。
カバンから数学のノートを広げてから、首をかしげた。
見覚えのない、メモ。
これは…?