第2章 雨と涙は同じ色 〜黒尾鉄朗〜
もう振り向いても彼は追ってこない。
きっとあの子は、黒尾くんの特別。
隣にいることを許された人。
『……っ、まだ…好きも、ゆって、ない……!』
涙が溢れて止まらない。
上履きのまま、グラウンドに出る。
泥がはねて、スカートが汚れた。
冷たい雨が頬を伝って、顔が濡れるのが雨なのか涙なのか分からなくなっていく。
髪が、体が冷えて、寒気がする。
あぁきっと、はじめから。
『私の隙間なんて…なかったんだよね』
頬を伝うのは、どっちだろう。
遠くで学校のチャイムが鳴った。