• テキストサイズ

Love Delusion…

第12章 好きの裏返し ♥︎ 〜木葉秋紀〜



木葉の傍まで行って、屋上のドアの鍵を閉める。
これで、私と木葉。
屋上にはふたりきり。


「お前…ほんとどうしたんだよ」

『どうもしてない』

心臓が、痛い。
素直になるのって、こんなにドキドキすることなの?
…知らなかったなぁ。

『ねぇ、木葉』

真っ直ぐに木葉を見つめる。
初めてだな、2秒以上目を合わせるの。

『私…ほんとはね』

ドアにもたれかかりながら、空を見上げる。
つられて木葉も上を向いたのが分かった。
鳥が1匹、悠々と空を舞っている。

『木葉のこと……ずっと、好きだったんだよ』

ぽつり、ぽつりと。
まるで独り言のように呟いたそれは、すとんと私の心に落ちて。

途端に、強く強く、身体が締め付けられた。


「…ッ、俺も……」

木葉が、私を抱きしめてる。
…そっか、同じだったんだね。

ふたりとも、素直になれない。


あの憎まれ口も、少しからかったような対応も、素っ気ないのも、全部…。

好きの裏返し、だったんだ。

/ 222ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp