第12章 好きの裏返し ♥︎ 〜木葉秋紀〜
その日の昼休み。
英愛が委員会の集まりがあるからって、私は珍しく1人でご飯を食べることになった。
誘ってくれる友達はいたんだけど、なんとなく1人が良くて断った。
わいわいとした教室を離れて、屋上へ向かう。
梟谷は、お昼休みだけ、屋上が解放されてる。
扉を開けると、高くて青い空。
『私にも羽があったらなぁ…遠くの向こうまで飛んでいきたい…』
「何たそがれてんだよ、結木」
声にびっくりして振り向くと、木葉の姿。
突然現れるこいつにも、少しだけ慣れてきた。
『んー…あんまり綺麗だからさ』
ぶっきらぼうだけど、いつもみたいに憎まれ口を返さなかった私えらい。よく頑張った。
「うげ…結木が素直だ。お前らしくない…。調子でもわりぃのかよ…?」
『……はぁ!?何よそれ!!』
だけどそれも、木葉のたった一言でひっくり返る。
せっかく少しだけ素直に返したのに。
…私らしく、ない…か。
『…私が素直じゃ、だめなの』
思わず口をついて出た言葉。
ふと視線を木葉へ向けると、驚いた顔と目が合った。
『私だって素直な時くらい、あるよ』