第11章 私流コーディネート ♥︎ 〜瀬見英太〜
手を引かれて連れてこられたのは、ホテル街。
華やかなネオンがあやしげで、それだけで変な気分になりそう。
「…最後のチャンスだけど」
そう振り向いた瀬見くんは、真剣だった。
帰るなら、今が最後。
『…さぁ、なんのことかな』
に、と笑ってみせると、私の手を握る瀬見くんの手にぎゅぅと力がこもった。
自動受付の機械的な音声案内に従って部屋を選ぶ。
少し瀬見くんが迷ってるみたいだったから、一番安いところを選ぶと、すごくびっくりした顔をされた。
「来たことあんの」
『あるわけないでしょ』
ただ、瀬見くんがそうやって困ってると助けてあげたくなるだけ。