第2章 雨と涙は同じ色 〜黒尾鉄朗〜
そんな考えが浮かんで、ふるふると首を横に振る。
私なんかと、黒尾くんを比べちゃダメだ。
頭の作りが違いすぎる。
「俺が、なに?」
『黒尾くんなら、解けるのかな……って、え!?黒尾くん!?』
声がした方を振り返ると、ユニフォーム姿の彼が。
驚きのまま、固まる私。
『なんで、ここに…?』
素直な疑問を黒尾くんへ投げかけると、彼は手にしていたノートを目線まで持ち上げた。
「数学のノート提出に。職員室行ったんだけど、こっちだって言われてよ」
『な…なるほど…って、え?もう終わったの?』
確か、課題が出されたのは今日のはず…。
「そんなもん、授業中に終わったっつーの」
彼の言葉に私は目を丸くした。
今日の分は、軽く5〜6ページはある問題集。
それを、あの時間で、しかも居眠りしながら…。
『凄いね…あっ、もし良かったら、私が提出しておくよ』
気がついたら、そんなことを口走っていた。