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君と共に

第15章 真穂の真実


「ちょ、ちょっと!」
密着していた唇を勢いよく離し、一歩下がった。
突然のことに、豆鉄砲どころでない衝撃を受けたが真穂は至って冷静だった。
「一樹君と、しちゃった。ダメってわかってたのに。」
切なそうな顔をする鈴木はそのまま話を続ける。
「楓と付き合ってるの知ってるよ。楓が教えてくれたから。すごいショックだったけどね。」
楓が自殺未遂をした原因はこれのことだなと推測できた。遺書に名前が出てきたのも何となく理解できた。
「あ、そのことで自殺なんかしようとしてないからね?」アセアセ
「え、じゃあなんで…。」
少し首を下に傾けて、楓が続ける。
「私の体のこと、楓から聞いたんだよね。隠すつもりじゃなかったんだけど、話せば同情されちゃうと思ったからあえて話さなかったのに。そして、楓と私が適合したって楓が自ら話してくれた。一樹くんには今日、学校で話すって言ってたけど。」
楓、一体何を考えて…。
鈴木には事前に話さないって言ってたのに、なぜ…。
目の前の状況、楓の胸中。
色々と分からないことが多すぎる。
ここにきて、自分に臨機応変とか応用とかの能力が不足していることを悟った。
「楓の命を奪ってまで、私は生きてていいのかなって考えちゃうと、すごく怖くなってね。楓は平気だよって言ってくれたけど、それでも不安で…。勢い余って、薬を大量に飲んじゃった…。」
楓はまた目に雫を溜めながら話した。
それを少し拭うと、落ち着きが少し戻ったようだ。

いつもの7割程のテンションにお互いなったところで、看護師が入室した。
どうやら、これ以上長居は出来ないようだ。
「じゃあ、元気に学校で会おうな。」
「うん!来てくれてありがとう!」ニコ
少し手を振り、病室を後にした。
病院の中央玄関から出て、少し進むと楓が待っていた。
「おかえり。」
「楓、鈴木に話したんだね。」
ただいま、よりも先行した真実。
「ダメだったかな?話した方がいいと思ったからそうしたんだけどね。」
なんだか、冷静さが全面に表れ怖いとすら感じる。
楓には悪びれた様子なんて微塵も感じれなかった。
「鈴木は、楓の命を奪ってまで生き…

………。

今度は楓に唇を奪われた。
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