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君と共に

第12章 崩れゆくつながり


「さすがに、そろそろ学校は出た方がいいよね。休むって伝えてもらったし。」
力を抜いた状態から楓は少しずつ起き上がる。
かわいいひらひらの洋服に少しシワが残るほど、落ち着いていたらしい。
「そだね。どこにいこうか?」
やっとまともに話せる気がするのは、友達から抜け出したからかもしれないが、緊張感はまだ心臓に届いている。
「久しぶりに私の家に来る?」
「うん、いいよ。」
二つ返事で、楓に同意する。
さすがに制服でお邪魔するのは色々と問題があると思い、
「一度家に帰ってから、行ってもいい?」
「うん、わかった!家、覚えてる?」
「引っ越す前のところと一緒?」
「そうそう!」
すごく楽しそうに振る舞う彼女にドキッとするのは、もはや慣れなさそうだ。
「じゃあ、大丈夫だよ。待っててね?」
「うん、待ってるね。」
会話を終え、二人は屋上を後にした。
帰りは本当にとりとめもない話で盛り上がるも、お互いの手のひらを支え合う一時になった。
幼い頃は当たり前だったのに、今となっては手を触れるだけで、楽しくも嬉しくもある。
「じゃあ、また家でね。」
「すぐに行くから、待ってて。」
振り返り2、3歩進んだときに、
「和樹、大好きー!!」
後ろからの愛の叫びが聞こえた。
彼女は、天使の笑顔と子供の手振りで感情を伝えてくれた。
少し照れながら、さっと帰路に戻り早歩きで家に向かった。
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