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君と共に

第11章 衝突、そして…


突然の告白。そして数秒の沈黙。
先に口を開いたのは、楓だった。
「いきなりすぎるよね、突然現れて告白なんておかしいよね。ごめん…」
「あ、謝らなくていいから!こっちこそごめん…」
「そのごめんはどういう意味のごめん…?」
追い打ちのようにも聞こえた楓の声にまた何も言えなくなった。
普通なら考えさせて、っていうとこだが楓にはそんな時間なんてない。
かといって、すぐ決断するのもどうなんだ?
俺の中では…
「…真穂のこと、考えてる?」
「え!?」
何故楓にはここまで見透かされるのだろうか。
超能力の類なら、少し分けてほしい。
「うん、そう…」
「昔の俺なら、すぐにうんって頭を縦に振っていると思う。けど、楓と恋人になって鈴木がどういう反応するのかなって思ったら、すぐに返事はできなかった。」
「和樹君は昔から人のことばっかり考えてるね。そういうとこほんと変わんないなぁ。」
そう言われると少し照れくさい。
「私ばっかり話してる気もするんだけど、和樹君の好きな人は昔と変わらない?それとも変わった?」
間接的に私のこと好き?って聞いてくるなんて少し卑怯だよ、なんて言える訳ない。
屋上には冷えた風が吹いてくるせいか、楓が少し寒そうに震えた。
「寒そうだから、中にはいろ?」
楓の手を繋ごうとしたとき、楓が突然倒れた。
「楓!どうした楓!おい!楓!」
体を抱え揺らし声を掛けたら、楓はゆっくりと目をあけ
「ごめん、嘘だよ。」
すこし笑って、舌を出した。
「もー、焦らせないでくれよ…」
安心して、立たせようとすると楓が腕をグッと掴み思わずこけそうになった。
「楓、どうした?」
「…もうちょっとだけ、このままで…いて?」
上目使いで甘えてくる楓に頬を赤くさせてしまったようだ。少し体温が上がった気がした。
「仕方ないぁ。もう少しだけな?」
「ありがとう、和樹君。好きだよ。」
「あぁ、俺もな。」
「え?ほんと?」
目を丸くさせた楓。何かあったのだろうか。
「和樹君、私のこと、まだ好きだったんだ。嬉しい。」
「え、あれ?俺言ったっけ?」
思わず聞いてしまった。失礼である。
「だって、俺も、って言ったじゃん。」
「あー、あれはその流れで思わず口に出た感じなんだけど…」
「もー、はっきりしないなぁ。」
やはりそうなりますよね。ごめんなさい。
「和樹君は一体誰が好きなの?」
その一言に何も返せなかった。
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