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すうら、すうすう。

第4章 差し上げますー銀魂、万屋


一人で山道を歩いていたら妙なものを見付けた。

狭い道の真ん中にボソッとカバーのない文庫本。

「・・・あん?何だ、こりゃ」

何の気なしに拾いあげてパラパラとめくってみると、最後の頁に褪せたインクの色。

「差し上げますぅ?」

本を反して見ると、まるで知らない題名と作者なので舌打ちが出た。

「要らねっつの。大体山ン中まで本なんか持って来るなんて何考えてンだ。苦しい思いして山登って何で本?何で活字?どんだけマゾッ気の強いバカの落としモンだ?こういうとこで思いっきり楽しむんならエロ本だろ?無修正だろ!?でなきゃ受けとんねえんだよ、俺は!」

スパーンと道に本を叩きつけて先を急ぐ。
そろそろ陽が暮れる。

「くそ。ちょっと用足す間くれえ待っててくれたっていいだろ?さっさと置いてきぼり食らわせやがってアイツら・・・」

フと視線を感じて振り向いた。

誰もいない。

正面に目を戻すと、道の真ん中にまた本が落ちていた。

「・・・・・・」

拾いあげてめくると、また差し上げますの文字が目に入る。

「何コレ・・・」

同じ題名、同じ作者。

「・・・・・要らねっつってんだよ、しつけえな!!!そんなに貰って欲しけりゃエロ本出せ!青いタヌキに飼い殺されていつまでたっても成長しねえ駄目ッコ眼鏡の0点の答案ばりの無修正だッ!わかったか、このバカヤロウッ!!!」

傍らの木立の下生えがザワザワと揺れた。

「知らねえよ、もう!本なんか要らねっつってんだろが、ごら!こっちゃ腹減ってクッタクタなんだよ!お父さんの靴下かお母さんのババシャツ並みにクッタクタなんだよ!クッタクタもクッタクタ、何なら新妻の煮込んじゃった素麺並みにクタクタだっつの!そら食わねえでもねえよ、新妻によったら!はいアーンとかってオプションつくならマジ考えちゃうけどもだ!そういうクッタクタじゃねんだよ、バカ!今この瞬間のクッタクタはばあさんの乳あてかじいさんのさるまたかっつう世も末系のクッタクタなんだよ!本なんか読んでねえで空気読め!あ"ーッ、チョコパ食いてえ、イチゴ牛乳呑みてえ、団子に寿甘にお萩に羊羮ンン!!!」

下生えの揺れが収まった。

が、腹は治まらない。

投げ捨てた本を踏みつけて行きかけ、また戻って蹴飛ばして下山する。

視線を感じたが腹が減ってイライラするので無視。

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