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すうら、すうすう。

第1章 序 ー失せる童女とうねる手とー


「だからと言って付き合ってられませんよ。馬鹿馬鹿しい」

「そうですねえ。どうしようもない事、手も足も出ない不思議はいつまでもそのままの方がいいんでしょうね、きっと・・・・つッ、ぁだだだッ、ちょっと、何ですか!」

ぼんやり言った女の耳を吊り上げて、鬼鮫は口の端を上げた。

「少なくとも私の不思議の半分は氷解しましたがね?人騒がせは昔からですか?全く傍迷惑な・・・」

「フ、すっかり陽気に油断してますがね?残り半分は永久凍土さながら生涯不思議のままだと思いますよ?」

「そうでしょうね。だからなんです?一向に構いませんが?」

「忘れられない体験でしょう?喉に刺さった小骨、襟首から走る風、開けた覚えのない扉、なくなる筈のない失せ物、気にならない訳ないでしょ、貴方存外神経質なんですから」

「ヤな事いいますねえ・・・」

「ヤな事と言うか・・・」

女ー牡蠣殻は首を傾げて笑った。

「不思議な事、でしょうね」











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