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すうら、すうすう。

第10章 オバケなんてねえよ。居たら困んだよ。ー銀魂、真選組ー



「悪霊退散ンンン!!!!!」

ビッシャーッ

「………」

良い匂いが漂う。腹が減るようなカルビー系の匂い。

「…コンソメ…?」

頭からポタポタとコンソメ汁を滴らせて、近藤が目を瞬かせる。

「今ァどっちかってェとのり塩気分なんだけどな、ザキ…」

ファミレスの制服に身を包み、両手にコンソメを満載したソースボトルを構えた山崎が青い顔でキリッと三人を見回した。

「お、遅くなってすいません!…勇気を…勇気が…ッ!ゆ、勇気……ぅふがッ」

腰に土方の廻し蹴り、盆の窪に沖田の延髄斬り、眉間に近藤の拳骨、いちどきに喰らってサロンエプロンを翻した山崎がどぅと倒れる。

「愛と勇気が何だってェあぁ!!??アンのパンのマンかテメェは、ごらあァァ!!!」

「……副長…、俺、あ、愛なんて言ってな……」

「急に出て来たらびっくりすンじゃねェですか。不意打ちはいけやせんぜ、ザキさん」

「……だからって延髄斬りはない……」

「何っでコンソメ?のり塩にしろって。コンソメはもうセットスープで呑んじゃってんだからさ。空気読んでこうぜ、ザキィ……」

「……のり塩スープなんかねぇですよ…局長……ぅあだッ」

不意に頭を叩かれた山崎が前のめりにコケた。

「食い物粗末にしてんじゃねえぞ、ジミー山崎」

洞爺湖の木刀を肩口でトントン言わせた銀時がやる気のない顔で真選組の面々を見回した。

「店内で騒ぐんじゃねえ。通報すっぞゴラ。うち帰って寝ろっての、全くしょーもねぇ国家公務員だな、オメーらは。世の中取り締まる側じゃなくて取り締まられる側にばっかいんじゃねえよ、俺の血税返せ。税金泥棒が」

「いや、万屋、これには訳が…」

言いかけた近藤の頭にパカーンと洞爺湖が炸裂する。

「訳なんかどうだっていいっつの。俺の稼ぎ口潰すような騒ぎは起こすんじゃねぇ」

「客席に木刀引っさげて面出すようじゃ、誰に何をされねぇでもクビになりまさァ。流石ァ万屋の旦那だ。馬鹿に筋金が通ってらァ」

真顔で言う沖田に銀時は首を振る。

「これァ木刀じゃねんだよ。菜箸だ」

「…随分デケェ菜箸じゃねえか」

「特注だからな」

「…一本しかねえじゃねえか」

「二本買う金がなかったんだよ」

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