第2章 猫喫茶‘ひだまり’。
『それで、このにゃんこ達にエサをあげてくれてた貴方もうちの店で働いてくれないかなーと思いまして』
一松「・・・・・・は?」
『見た感じ、人馴れしてるみたいですし。
野良猫って普通人間を恐がっちゃうんですけど、貴方が毎日エサをあげに来てくれてるおかげで見慣れない私にもあんまり警戒してないんですよね』
一松「・・・まあ・・・暇、だし・・・」
『だからですよ。
もし他にお仕事されてるなら無理強いはしません。
けど、もしそうじゃなかったら・・・うちの店で働きませんか?
懐いてる人が一緒なら、このにゃんこ達も安心してくれると思うので』
どうですか?と改めて聞かれて、一松はどう答えるか迷った。
それはまあ、猫好きな自分には願ったり叶ったりな提案。
でもつい先日(とは言っても半年くらい前)に猫喫茶で働いて、3日でクビになった経験がある。
また同じような事になって本当にこの猫達と別れるような事になってしまえば、死活問題になり兼ねない。
一松「(・・・どうする・・・。
こいつらと会えなくなるとかぶっちゃけ嫌だし・・・でもそろそろ母さんに猫缶代出してもらうのもきつくなってきた・・・。この前だっていい加減猫喫茶なり何なりどこでもいいから定職に就けって言われたしな・・・。
うわあ、でも・・・もしこの人と同じ店で働くとしたら・・・絶対にキモがられる。暗いとかキモいとか不気味とか言われて絶対避けられる・・・。
・・・・・・・・・いや、それはそれで楽しめるかもしれない・・・)」
『・・・やっぱダメ、ですか?』
一松「・・・・・・ぇ、・・・っと・・・」
正直に言えば是非とも働きたい。
だがしかし、一松はその素直な言葉を口に出せずにいた。