第2章 猫喫茶‘ひだまり’。
「猫達と離れたくないし、母さんにも親孝行してあげたいしマジ働きたい」
一松「・・・・・・・・・っ!!??」
『え』
まさかの第三者の声。
一松にとって聞き覚えのあるその声に心臓が飛び出るんじゃないかと言うくらいに驚いた。
声のした、自分の足元に恐る恐る視線を向ける。
案の定、そこに居たのは親友ことエスパーにゃんこだった。
『・・・え、今このにゃんこ・・・』
一松「あ・・・ぃいや、こ・・・ここれは・・・っその・・・!」
E猫「前に別の猫喫茶ですぐクビになっちゃったし、こんな性格だから長くは居れないだろうけど働きたい」
一松「、おま・・・っ!!『わあ、この子喋れるんだ・・・!』・・・、ぇ・・・」
目の前で猫が人語を喋れば、当然悲鳴の一つや二つは聴こえてくるだろう。
だが、聞こえてきたのは悲鳴とは真逆の声だった。
相手は自分の足元に居たエスパーにゃんこを怖がらせないように、そっと近づいて頭を撫でた。
一松「・・・気味、悪くないんです・・・か?」
『え?
あ、別に私は気味悪いだなんて思いませんよ。
だってにゃんこはにゃんこじゃないですか。
・・・と言うか、もしかして今の言葉って・・・』
E猫「態度悪い癖に本心は働きたいとかバレちゃってたらどうしよう」
一松「〜〜〜っ・・・!?」
E猫「やっぱりこんなクズが前向きな事言えば引かれるよな」
一松「・・・・・・・・・、・・・・・・っ・・・」
『にゃんこくん、私の本心も伝えてくれる?』
E猫「貴方もにゃんこくんも気味悪いなんて全然思ってない。性格なんて人それぞれなんだし。働きたいって思ってくれてるなんて凄い嬉しい。是非ともうちの店で働いてほしい」
相手はエスパーにゃんこに自分の本心を喋らせると、そのエスパーにゃんこを抱き上げて一松に手渡す。
その時。
自分に『ね?』と微笑まれて、一松は「・・・働きたいです」とすんなりと言葉を吐いたのだった。