第2章 猫喫茶‘ひだまり’。
それは時を遡る事10日前。
その日一松はいつものように朝食を食べ、痛い発言をした兄の1人にバズーカをぶっ放して弟の1人に午後から素振りに付き合う約束をして家を出た。
手には猫缶3つ。
口を隠す為のマスクも、ちゃんと着用している。
目的地はいつもの路地裏にある野良猫の溜まり場だ。
今日も猫達にエサをやって、戯れて適当に時間を潰して帰ろう。
そう思っていたのだが・・・。
『あ』
一松「・・・、・・・?」
どうやら今日は先客が居るようだ。
外見からして女性。
見覚えのない相手に、普段から異性と滅多に接触しない一松は表情には出さずに内心パニクった。
『すみません、もしかして・・・いっつもこの子達にエサをあげてくれてる人ですか?』
一松「・・・・・・そう、ですけど」
『よかった、やっと会えた』
一松「・・・・・・?」
『あ、私怪しい勧誘とかじゃないですからね?
私この先の中央区にある、猫喫茶で働いてるんですけど・・・この子達、人間には免疫あるみたいだしうちの店で置いてあげたいなーって思って』
一松「・・・・・・・・・それって・・・引き取りたい、って・・・・・・意味ですか?」
『はい』
一松「・・・好きに・・・すればいいじゃないですか。
別に、俺が飼ってる訳じゃないし・・・・・・」
ああ、今日でこいつらともお別れか・・・と負のオーラを滲み出す一松。
そんな一松に、相手の女性は足元に擦り寄ってきた1匹の猫を撫でながら言葉を続けた。