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言葉の距離と声の数。

第2章 猫喫茶‘ひだまり’。


手紙を読み終わり、一松は改めてひだまりで働くもう1人の店員を見た。



彼女は梅原梅子。
ひだまりで働いている、唯一の女性店員だ。
唯一と言っても、ひだまりでは一松と梅子しか従業員が居ないのだが。

色染めなどは全く施していないのか、海を彷彿とさせる綺麗な藍一色の髪は肩につかない程度の長さ。
黒より少し薄い、灰色の瞳。くっきりとした二重まぶた。
胸はどこぞのグラビア程大きくはないが、見た感じはBよりも上だろう。
背丈は一松よりは少し低めだ。


その、梅子が。
店長から贈られてきた黒の猫耳と黒い尻尾を装着している。

こんな俺得のような展開が待ち受けているなんてこれっぽっちも期待していなかった一松は、『どう、似合うかなー』と聞いてきた梅子を見たまま固まった。





一松「(・・・ああああああああああああああああああああああああああああああ・・・!!!!?
な・・・っんだよこれ!?夢か、夢なのか?実は夢オチでした〜とかのパターンか?
夢じゃなかったとしたらどんだけだよ・・・俺、今日で人生全部の運使い果したんじゃないのこれ・・・!!)」

『私、普段カチューシャとかしないからさ。
こう言う・・・猫のなりきりセットって言うの?似合ってなかったらゴメンねー』

一松「いえすっごく似合ってます、今まで出会ったどんな猫とか人間の女の子よりもダントツで可愛いです梅原先輩」キリッ)

『え、マジでかー。
お世辞でも嬉しいよ、ありがと松野くん。
いつもそんな感じでキリッと喋ってくれたら花丸あげるよー?』

一松「・・・!?(ハッ
あ、え・・・いや・・・今のはその・・・・・・っ・・・!」





ついつい出てしまった自分の本音に、すぐさま我に返った一松は冷や汗を流した。


やってしまった。
いつも通りにボソボソとまではいかない程度に喋ろうとした矢先にこれだ。

梅子が『んじゃ、私はにゃんこ達にエサやりに行くから松野くんも時間見て店の窓拭きよろしくねー』と言い残してスタッフルームから店内へと向かう中、残された一松は梅子と初めて出会った時の事を思い出していた。
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