第2章 猫喫茶‘ひだまり’。
カシャッ
まだ馴れない手つきでタイムカードを機械に通して、ちゃんと今日の日付の出勤の欄に時間が打刻されたか確認した。
そのタイムカードをすぐ横のケースに入れる。
自分のタイムカードのすぐ横には、既にもう1人のタイムカードが入っていた。
一松「(・・・もう来てるんだ・・・。
いつも俺より早く来てる・・・。俺ももっと早く来た方がいいのかな・・・)」
つい先日、一週間前にこの店・・・猫喫茶‘ひだまり’で働き始めたばかりの一松はタイムカード入れに入れられてあるもう一枚のタイムカードを見ながらふとそんな事を思った。
現在の時刻は午前9時過ぎ。
もう1人のタイムカードに打刻されている時刻は、7時半と表示されている。
開店当初から働いていると言っていたけれど、ここが開店したのは4年前。
その当時からずっとその時間帯に出勤しているのだとしたら、自分よりも遥かに真面目で就労意欲のある人間なのだろう。
そこまで考えたところで、一松はハッとしてスタッフルームへと足を進めた。
一松「・・・ふぅ・・・。
(・・・お、落ち着け。また今までみたいにあの人と接すれば大丈夫・・・・・・)」
がちゃっ
一松「・・・おはよう、ございま・・・。・・・す・・・っ!?」
『おっ。
おはよ、松野くん』
一松「ッっ・・・・・・な・・・っ、あ・・・・・・そ・・・っそれ・・・。
え・・・・・・は・・・、っ??!」
『ん?
あー、コレ?
私が来た時、丁度宅配便で店長から贈られて来たんだよね。
松野くんと私宛てに手紙もきてたんだ。はいこれ』
そう言ってテーブルの上に置かれていた小さめのダンボールから一枚の紙を一松に手渡してくる。
一松は半分放心状態になりながらもそれを受け取ると、手紙とやらに目を通し始めた。
〝松野くんへ。
やあやあ、元気にしてるかな?
うちの店も猫喫茶と言う事で、そろそろ開店五周年に入る頃合だから女性店員には猫耳と尻尾を着用させようと思うんだ。
男性店員は腰につける尻尾アクセサリーだけにしておいたよ。
と言う事で、もう梅原くんの格好は見てくれたかな?
少しでも松野くんの恋路の手助けになれば幸いだと思っているよ。
山田川より〟