第2章 3人の船長
「わかった。お前のことを信じよう」
男の人がそう言うと、老人は優しく笑った。
「ありがとう。では、行くか」
わたしたちは彼の後をついて歩いた。方向から考えて、どうやら老人はオークションハウスの中心部へと向かっているようだった。
(何をするつもりなんだろう……)
彼の意図が分からないまま、わたしたちはその後を黙ってついて行く。
「よし、着いたぞ」
老人について行くと、オークションが行われるステージのすぐ裏側に着いた。つまり、ステージの壁の後ろ側だ。
「じいさん、ここは壁の後ろだぞ。ここからどうやって外に出るんだよ」
「まあ、見てろ」
老人はそう言って、手のひらを壁に付けた。すると、大きな音を立てて壁を壊してしまった。
「……え……」
頑丈そうで、普通の人にはとても壊せないような壁をいとも簡単に壊したのだ。
(……この人、何者なの?)
巨人もその後に続いて壁を壊した。わたしたちはその後について行く。
「その麦わら帽子は精悍な男に良く似合う」
オークションハウスの中を見ると、さっき天竜人を殴っていた麦わら帽子を被った男の子に老人が話しかけているのが見えた。