第2章 3人の船長
「おや? どうしたんだね?」
そこに顎髭を生やした白髪頭の1人の老人がやって来た。
「え、じいさん……」
「あー喋らなくていい」
老人はそう言うと、わたしたちの顔を黙って見渡した。
「ほう、そうかそうか」
老人はにこやかに笑った。
「……」
ーーこの人も奴隷だったのだろうか……でも、少し雰囲気が違う気がする……。
「これから、君たちはどうするつもりだ?」
「え……」
わたしは隣の女の子と目を合わせた。
「もし、よかったら……わたしの後について来ないか?」
「……それで何かおれたちに利益があるのかよ」
わたしに自由になろうと言ってくれた男の人が老人に聞いた。確かに、この人について行ったからと言ってここから抜け出せるかどうかはわからない。この人が実はどこかの家の貴族で、わたしたちを再び奴隷にしようとしてるのかもしれない。
「この人は信用しても大丈夫だぞ」
わたしたちがどうしようか困っていると、老人の後ろから巨人がやって来た。
「おれはこの人に首輪を外してもらった。この人は信用しても大丈夫だ」
その巨人は今日のオークションの目玉だと天竜人が話していた人だろうか。彼の言うことは嘘ではないと思った。