第7章 部屋とYシャツと私
「確か、昨日見た時にお風呂場にたくさんあったような……」
わたしはベッドから立ち上がり、そのまま部屋を出た。そして、目的の場所に向かって歩いて行く。
(ここを右に曲がって……あった)
船内を進んで行くと、ある場所に着いた。そこは脱衣所だった。今の時間帯は誰も使っていない。服を入れるカゴには脱がれた服が山盛りになっていた。
「……これを洗うことくらい……いいよね?」
キョロキョロと辺りを見て、近くにあった棚の中を見た。そこには、洗剤が置かれていた。棚の近くには大きな桶も立てかけられている。
「これを使えばいいかな?」
山盛りになった洗濯物をカゴから桶に移し替えた。そして、洗剤と桶を持ってお風呂場の中へと入る。広いお風呂場の体を洗うところまで桶を持って行き、蛇口を捻って水を出す。桶の中に水を入れる。
「うーんと……洗剤は……」
文字は読めない。使い方もよく分からない。あの時は確か……。
「キャップに2杯……だったかな?」
昔のことを思い出しながら、洗剤を桶の中に入れた。ある程度、水が貯まったところで水を止める。
「よし」
わたしは桶の中に足を入れて、そのまま服を踏み付ける。ーー昔、最初の貴族に仕えていた時に良くこうして同じく奴隷になった人たちと服を洗っていた。その時間だけはみんなで仲良く話して、とても楽しかった思い出があった。