第7章 部屋とYシャツと私
キッド海賊団に拾われて、2回目の朝を迎えた。目が覚めて体を起こす。窓の外には日が昇って、海がキラキラと光っている。
「……」
ーこんな清々しい気持ちで朝を迎えるのは生まれて初めてだ。
(朝を迎えるのが楽しみだなんて……)
そんなこと、考えたこともなかった。今日は何をして過ごそうだなんて、夢みたいだ。
「……今日は何をしようかな……」
ーーペペロンチーノを食べた後、キラーさんは部屋に案内してくれた。
ーここを使え。物置だったところをさっき片付けさせた。
1人が過ごすには充分な大きさのお部屋の扉を開けて、キラーさんはそう言った。ーー生まれて初めての自分の部屋。それだけで満足だった。その後、お風呂にも入り、ふかふかのベッドに横になって眠りについた。
そして、昨日はキッド海賊団の人たちに座っていろ、ゆっくり休んでいろと言われたため、何もせずにただ綺麗な海を眺めていた。ーーこれも生まれて初めての経験だった。仕事がない日なんて、今までなかった。だが……。
(何もしないのも暇だな……)
ー何かやることがあれば……。ーー少しでも、彼らに恩を返したかった。
「あ、そうだ」
わたしは海を見ながら、思い出したように呟いた。