第6章 温かいご飯
彼は黙ってしまった。
「他の人にとってはそうかもしれません。でも、少なくともわたしにとって、キッドさんは優しい人です」
わたしは目を閉じた。
「わたしを拾ってくれて、人間以下の扱いを受けたわたしを同等に扱ってくださっています」
目を開けて、彼の方を見る。
「それだけで、わたしは嬉しいんです」
「……」
キッドさんは無言でわたしの髪の毛を撫でる。
「クズが世界を支配するからクズが生まれる」
「……え……」
「天竜人なんて、そんなもんだろ」
キッドさんはわたしの頭から手を離した。
「あいつらが偉いと誰が決めた? そんなの、一部の人間のものの考え方だ。奴らは何も偉くない」
「……」
「人間以下と決めつけたのはあいつらだ。お前は何も気にしなくていい」
「……」
また、涙が溢れそうになる。どうして、みんなそんなに優しくしてくれるのだろうか。
「……待たせたな」
そこへ、キラーさんがお皿を持ってやって来た。いい匂いがする。わたしの目の前に小さく音を立てて、皿が置かれた。
「……キラーさん、これ……」
「ペペロンチーノだ」
「ペペロン……チーノ?」
目の前に置かれた料理を見つめる。湯気を立てて、温かそうだ。