第4章 普通の生き方とは
「い、いえ、大丈夫です……」
そう答えたわたしに追い打ちをかけるように、賞金稼ぎたちは話を続けた。
「そんでさ、この話も知ってるか?」
「なんだよ」
ー嫌な予感がする。
「麦わらの一味にはもう1人、女の船員がいるとかなんとかって話」
ギクッ
思わず動きが固まる。
「へー! 9人じゃなかったのか?」
「それが、オークション会場から逃げ出した麦わらの一味の数を数えた奴が魚人族の他に女が乗ってたとか」
「あー、なんか天竜人の奴隷たちが逃げ出したって話は聞いたぞ」
「それとなんか関係あんのか?」
「……」
きっと、店にいる2人はすぐ近くにその話題になっている人がいるとは夢にも思わないだろう。
「そいつの特徴とかは? もしかしたら、懸賞金がかけられてるかもしれねェぞ!」
「……!」
背筋が凍る。それはさすがにマズい。
「それがな、遠すぎてわかんなかったんだとよ」
「なんだよー!」
賞金稼ぎたちは悔しそうな顔をしている。わたしはホッとした。ーーまた、あの世界に戻らなくて済んだ。でも……。
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