第3章 人の優しさ
彼は太陽のように笑った。
「おれの……仲間になれよ!」
「……」
(仲間……)
それは今まで言われたことがない言葉だった。しかし……。
「……」
ーまだ、少し迷いがあった。本当に仲間になってもいいのだろうか。この人たちのためになるのだろうか……。
「……」
「おい、どうしたんだよ」
少年は口を尖らせた。
「ご、ごめんな……」
ー怒らせた。そう思った。
「やめなさい!」
頭を下げようとした瞬間、オレンジの髪の毛の女の人が少年の頭を殴った。
「何すんだよ!」
「困ってるでしょ!? 見てわかんないの!?」
「……」
驚くことしかできなかった。女の人が男の人に手を上げているところを初めて見た。
「ねェ、こうしましょ」
後ろで少年が頭を抱えているのを余所に、女の人はわたしの方を見た。
「わたしたちはどのみち、コーティングが終わるまでこの島にいなきゃいけない。その間に、わたしたちの仲間になるかどうか答えを決める。どう?」
片目を瞑って笑う彼女を見て、わたしは少し考えたが頷いた。
「わかりました」
ーまず、自分に選択肢が与えられることが嬉しかった。考える時間をもらえることが嬉しかった。