第3章 人の優しさ
お店の中へ入ると、トナカイくんが魚人族のタコさんの手当てを始めた。
「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜!? “海賊王”の船にィ〜〜〜〜〜〜〜!?」
しばらく経つと、レイさんと呼ばれているおじいさんは様々な話を始めた。
「ああ、副船長をやっていた……シルバーズ・レイリーだ、よろしくな」
「副船長〜〜〜〜〜!?」
海賊たちはレイさんのお話を聞いて、驚きを隠せないでいる。中には泣き出している人も。
「……」
(シルバーズ……レイリー?)
さっき、長鼻の人が名前を知ってると言い、オレンジ色の髪の女の人がいろんな本に載っていると言っていた。今まで、外界と接せず、本を読むことがなかったわたしは何も知らないはずだ。なのに、名前だけは聞いことがある。
その後も、レイさんはタコさんとの出会いや“クロッカス”という人物の話、“海賊王”の処刑の真実、“シャンクス”という人の話、そして“ひとつなぎの大秘宝”についての話をした。
「……」
(全然、話についていけない……)
ーーただ、1つだけわかったこと。それは……。
「支配なんかしねェよ。この海で1番自由な奴が海賊王だ!」
「……」
ーー自由……。
彼は笑いながら堂々と言い切った。ーーわたしがずっと求めていたもの。ずっと欲しかったもの。それを、易々と言葉にしてのける。