第3章 人の優しさ
「はい!」
男の人は誰かにそう叫ぶと、わたしを抱えたまま空へと飛び上がった。そして、そのまま空を飛んでいる乗り物に飛び乗った。
「……っ……」
物凄いスピードで空を進む乗り物にびっくりして、体を固くする。下を見ると、あまりの高さに頭がクラクラしてしまいそうだ。
「怖いですか?」
目線を上に移すと、整った顔がすぐ近くにあった。
「だ、大丈夫……です」
絞り出したわたしの言葉に、彼はにこりと笑った。
「……」
ーーどこに向かっているのだろう? 何も分からないまま、わたしは事の流れに身を任せることにした。
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