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【ONE PIECE】アナベルが鳴る時に

第2章 3人の船長


「はい、喜んで」

 彼は握っていた手を離してわたしに近付き、体を横抱きにして軽々と持ち上げた。そして、そのまま後ろを向いて、オークションハウスの正面出口へと繋がる階段を登って外に出ようとした。

「あ、待ってください!」

「ん?」

 すぐ近くにある端正な顔がわたしの方を見る。彼の黒い瞳を見つめ、言葉を続ける。

「お世話になった皆さんに……お礼を言いたいです」

 わたしの言葉を聞いて、彼はまたニコリと微笑んだ。

「もちろん、いいですよ」

 彼は再び後ろを向き、元奴隷の人たちがいる方へ向いてくれた。そして、ゆっくりと地面にわたしを下ろした。

「あの……」

 下ろしてもらった場所から一歩前に足を踏み出し、目の前の方々に頭を下げる。


「……今まで、ありがとうございました!」


 ーー天竜人の奴隷になってから、一緒に生きようと励ましてくれた人たち。一緒に逃げようと言ってくれた人たち。

「どうか……生きて、幸せに暮らしてください!」

 ーーここから先、わたしたちの未来は分かれてしまうけど……みんな、どこかで幸せに生きていてほしい。

 わたしが頭を上げると、目の前にいる方々は皆笑っていた。
 
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