第2章 3人の船長
「もし、よろしければ……あなたを途中までエスコートさせていただけませんか?」
「……え……」
驚きのあまり、目を瞬かせる。
「ちょっと、サンジくん! 何言ってるの!?」
オレンジの髪の毛の女の人は目を見開いてびっくりしている。
「あなたみたいな美しい人が街を歩いていたら、また人攫い屋に連れて行かれてしまう……おれはそんなあなたの姿を見たくありません」
「……」
「サンジくん、勝手に……」
さっきの女の人が金髪の男性を止めようとしている。
「どこに連れてってくださるのですか?」
そんな2人に割り込む形で、わたしは言葉を発した。彼の目を真っ直ぐに見つめる。
「……っ、あなた……」
「わたしは……」
彼が握ってくれた手に力を込めて、言葉を紡いだ。
「わたしには……故郷がありません。どこに行っても、1人です」
「……」
女の人はわたしの言葉を黙って聞いている。目の前の男の人も。
「だから、どうか……」
ーーどうか、願いが叶うのならば……。
「わたしを……連れ出していただけませんか?」
ーー外の世界へと……。
その言葉を聞き、目の前の彼はニコリと笑った。