第2章 3人の船長
(逃してくれる……?)
ーー自由に……なれる……? やっと、夢が叶うの? だけど……。
「その後は……どこに行くんですか?」
「みんな、故郷に帰るのよ!」
オークションハウスで出会った女性が目をキラキラさせて私の手を握る。
「故郷……?」
「オークションハウスに連れて来られる前にお世話になってた商人の船に乗せてもらうの! そしたら、とりあえず海に出れるでしょ? そのままお願いして、故郷の島に連れてってもらうの! 他の人たちもそのつもりよ!」
「……」
ーーみんな故郷に帰るんだ……。
「お前は?」
「え……」
「お前も来るだろ?」
「……」
ーーわたしの故郷は……。
「おれはこいつらと裏口から脱出する。じいさん、いろいろありがとな」
「おう、巨人くん、気をつけてな」
わたしが悩んでいる間に、巨人さんはレイリーという男の人に別れを告げていた。
「……」
「おい! 行かないのか?」
いつまでも結論を出さないわたしに怪訝そうに眉を寄せて男の人が聞いてくる。
「あ……えっと……」
わたしが戸惑っていると、背後に人の気配がした。
「なんと美しい……」