第2章 〜序章〜
教室の席に座りながら窓の外を眺めていると俺の親友である蓮が声をかけてきた。
蓮「悠貴」
悠『何?』
俺は蓮へと視線を移した。
蓮「明日、転校生くるらしいぜ」
悠『そう』
蓮「相変わらず何事にも興味なさそうだな」
実際に蓮が言う様に興味が湧かない。
気付けば何事にも興味を持てなくなっていた。
悠『別に』
蓮「因みに男らしいぜ。女子が騒いでた」
悠『そう』
蓮「てか、相変わらずお前のファンの視線がすごいんだけど」
悠『ファン?』
蓮「まさか気付いてなかったのか?」
悠『お前のファンじゃないの?』
確かに女子からの視線には気付いていたが、蓮の事を見ているんだと思っていた。
現に蓮はよく女子に呼び出されている。
蓮「お前って鈍感だよな」
蓮がニヤニヤした顔でこちらを見てくるが、蓮が俺の反応を楽しもうとするのはいつもの事なので特に何とも思わない。
蓮「やっぱお前のポーカーフェイスは崩れないな」
蓮は少し残念そうな表情を見せた。
俺が無表情に過ごすようになってから、蓮は俺の表情を取り戻そうとこういうことをしてくる。
悠『…………』
次は教室移動の為、俺は立ち上がり廊下へと出た。
廊下に出ると女子が次々と道を開けた。
蓮「待てよ、悠貴」
蓮が追いかけてきた。
蓮を待っているとクラスメイトである女子が話しかけてきた。
綾「あの…」
悠『何?』
綾「先生が呼んでいました」
悠『ありがとう』
綾「ぃ…いえっ」
それだけ言うと顔を真っ赤にしたまま俺の前から走り去っていた。
蓮「橘、何だって」
そして入れ違いの様に蓮が来た。
悠『先生が呼んでるって』
蓮「まさか、お前何かした?」
悠『お前じゃあるまいし』
蓮「俺は優等生だ。そんな事は絶対にない」
悠『よく言うな。じゃあ、行ってくる』
蓮「あぁ」
俺は職員室に向かった。
廊下で女子が色々と言っていたけどどうでもいい。
悠『失礼します』
先生「来たな。お前に来客が来ている」
悠『警察ですか?』
先生「あぁ、お前に頼みたい事があるらしい」
悠『分かりました』
親の仕事の関係上、昔からよく警察に頼み事をされている為こう言う事には慣れている。
俺は応接室に向かった。
また、廊下で女子が色々と言っていたけど気にせず応接室へと入った。