第3章 2_ハンター試験
そして笛なのか区別しにくい音が地下道に響き、試験官だと思われる男が出てきた。
「これよりハンター試験を開始いたします」
***
試験が開始され受験者が走り出した頃、既に二人の受験者が命を落として居た。
「本当に受けてるなんてね。何で急にハンター試験なんだろ」
「そんなの知らないね。此処に居る奴等嫌いね。弱過ぎるよ。ささと終わらせるよ」
「まあまあ。取り合えず此れ、番号札。此れで俺達も受験者になったね」
「下らないね。ライセンスが有てもワタシ使わないよ」
愚痴を言いながらフェイタンは受験者の胸元から腕を引き抜く。
支えを失った受験者は力無く脚から崩れ落ちる。
胸元から血がドバドバと溢れ出し、ピクりと痙攣していた指先も次第に動きを止めた。
「‥さ、行こうか!」
シャルナークの言葉で二人は脚を動かした。
***
一次試験が始まり、リトは周りの人間に混ざって走っていた。
「‥‥此れ、本当に試験なんですかね」
現在80㎞を通過し、脱落者が1名出た処でリトは考える。
数時間ずっと走って居るがまだ終わりが見えない。其れに加え平らな地面だったのが先が見えなく、急な階段へと変わって居た。
リトの数m先には子供が二人仲良く走って居た。
「‥‥‥?」
どうも先程から視線を感じる気がして、脚は止めず横目で後ろを見る。
「‥この気配、何処かで」
リトは視線を戻し、自分の気配を消す。
「ん?」
すると前を走っていた二人の内の一人が此方を怪訝な顔付きで見てくる。
その少年の顔を見たリトは思わず脚を止めた。
同じ様に数歩先に脚を止めた少年はリトをジッと見る。
「アンタ‥、何者?」
その少年キルアは余りの気配の無さに警戒心を芽生えさせ、リトに問う。
「‥‥(気付いてない)」
「聞こえてる?アンタ一体――――、」
キルアは途中で言葉を切った。
そして有り得ないという表情でリトを見る。
「おまッ、おい!今まで何処に居たんだよ!?」
キルアは怒りを表しながらズンズンと階段を降りて来る。
「‥‥」
其れを無言で見ていると眼の前まで迫って来たキルアがリトの肩を強く掴む。
「聞いてんのか、リト!!」
周りの事なんて気にせず、大声で怒鳴るキルアに眉を潜める。