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【WJ】短編

第13章 【甘(R18)】素直になれなくて/木葉秋紀


 行為を終えると、途端に冷静になる。───やっちまった。誘われたとは言え、相手は幼馴染み。しかも初めて。


「気持ちよかった?」


 呑気にそんな事を聞いてくる遥香。避妊具にベッタリとついた血液。そんな事聞いてる場合かよ。


「あのさ、佐日早に振られたとか?」
「なんでそこで佐日早さんが出てくんの?」
「お前の好きな奴だろうが。振られたから俺のとこに来たんじゃねーの?」
「秋紀死ね!なんで、そうなんのよ馬鹿!」


 ヤってる時はあんなに可愛かったのに、終わってしまえばいつも通り生意気な遥香。


「私はずっと秋紀が好きだったの!鈍感!」
「は?んなわけねーだろ!お前中三の時佐日早に一目惚れしたっつって梟谷来ねーで井闥山に行ったろ!」
「それはバレーの話!私が好きなのはずっと秋紀だけだし!秋紀全然気付いてくんないし、私の事そういう目で見てないの知ってたから、ヤったら私の事、恋愛対象として見てくれるかなって思って、」
「…悪い。」


 まさか恋愛対象として見られてるとは予想外だった。本当の本当に最初はからかってんのかと思ってた。


「私、秋紀の事好きだから!別に処女あげたから責任取って付き合えとかそんな事は言わないけど、ちゃんと私の事そういう目で見てよ!」


 それだけ言って勢いよく扉を閉めて部屋を出て行った遥香。


「…マジかよ。」


 怒って告白とかアイツらしいけど、返事も聞かずに出て行くか、普通。まあ、多分振られると思ってだろうけど。


「あーやべ、ハマりそう。」


 普段は生意気なくせに、俺の腕に抱かれた遥香は可愛くて、愛しくて。俺の名前を呼ぶ遥香を離したくなくて。


「ヤッたから好きになるとかナシだろ。最低か。」


 そもそも好きじゃなかったら抱こうなんて思わない。アイツが梟谷じゃなく井闥山を選んだ時、気付いてた筈なのに、気付かないフリをしてただけ。でも、遥香を抱いて確認した。俺だって遥香の事好きだったよ。
 携帯を手に取り、遥香にメッセージを送信した。素直になれないのはお互いさま…か。


『彼女にしてやってもいいよ?』




               …ℯꫛᎴ




2016/09/30 Happy Birthday

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