第13章 【甘(R18)】素直になれなくて/木葉秋紀
折角の誕生日だというのに、お祝いと称した木兎のスパイク練習に付き合わされ、開放されたのは八時半。部活中に皆で祝ってくれたのは嬉しかったけど、その後散々木兎のヤツに振り回されてプラマイゼロどころか寧ろマイナス。家に帰ったら飯食って風呂入って速攻寝る。
家に帰ると、母ちゃんは夜勤、父ちゃんは多分今日も帰りが遅い。誕生日だっていうのに一人ぼっち。まあ、多分木兎もそれをわかってて自主練付き合わせたんだろうけど。アイツは主将であり、俺らのエース。頼れる時もあれば全く使い物にならない時もある。自由奔放で振り回されてばっかだけど、なんだかんだいって、木兎はちゃんと周りを見てる。
「おかえりー。」
「は?なんでお前いんの?」
誰もいない筈の我が家。自室の扉を開けると、俺のベッドで横になりながら俺のオカズを読み漁る幼馴染みの姿。
「ちょ、おま!返せ!何やってんだ!」
遥香が手にした本を慌てて取り上げる。久しぶりに来たと思ったら、人の部屋で何やってんだコイツ。つーか、なんで家にいる訳?ちゃんと鍵かかってたし。戸惑う俺をよそに、秋紀巨乳好きなんだね、なんて言ってベッドの下から秘蔵DVD達を取り出した。
「勝手に触んな!つーかなんでいんだよ!?」
「オバチャンが入れてくれた。仕事行くからお留守番よろしくねって。」
よろしくじゃねーよ。年頃の男の部屋に幼馴染みとはいえ、一応コイツも女だし、それを置いて仕事行くとか。仕事出る時に追い出せよ。
「てか、梟谷ってこんな遅くまで部活やってんだ?頑張るね。」
「そういう井闥山は随分お早い帰宅ですね。」
コイツ、高校は秋紀と絶対同じ学校に行く、なんて可愛い事言ってたのに、去年のインターハイ予選を応援しにやってきた遥香は決勝戦で当たった井闥山の佐日早に一目惚れしたとかなんとか言って、志望校を梟谷から井闥山に変更。そしてちゃっかりバレー部のマネージャーになって、今現在に至る訳だ。