第12章 【甘】ストロベリーに侵されて/月島蛍
9月27日、16回目の誕生日。両親におめでとうと言われ、年の離れた可愛い弟に大好きのオマケまでもらって家を出た。学校に着くと、友達におめでとうと言われ、可愛く包装されたプレゼントをもらった。開けてみてと言われ、中を開けると、淡いピンクに白いレース、蝶の装飾があしらわれた可愛いシュシュ。早速その可愛いシュシュで髪を束ねた。友達に可愛いと頭を撫でられた。子供扱いしないでと怒ったふりをする私にごめんと謝る友人。
登校してくる友人達におめでとうと言われ、沢山のプレゼントをもらった。
「おはよう。逢崎さん今日誕生日なんだ?」
「うん。」
「おめでとう。ツッキーと同じだね。」
「何が?」
隣の席の山口君。気だるそうに斜め後ろの席に着く月島君と私、何が同じなのだろうか。
「ツッキーもね、今日誕生日なんだよ。ね!ツッキー!」
「山口うるさい。」
「ごめんツッキー!」
「そうなんだ!月島君お誕生日おめでとう!」
「…どうも。」
ポケットからひとつキャンディーを取り出し、月島君に渡そうと思った。いちご味の甘いやつ。私のお気に入りのキャンディー。
「ごめんね、月島君。誕生日って知らなくて、飴くらいしかないけど。どうぞ。」
机の上には友人達からもらったプレゼントがあるけど、流石にそれをそのまま月島君に渡すワケにはいかない。となると、私があげられるのはこのキャンディーくらい。
「いらない。」
差し出したキャンディーは残念ながら受け取って貰えず、そのままそのキャンディーを山口君に渡した。
「え?いいの?」
「うん。月島君をここまで育ててくれたお礼。」
「ありがとう!」
「山口に育てられた覚えはないんだけど。」