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【WJ】短編

第11章 【甘】とっておきのお菓子/及川徹・岩泉一


「遥香ちゃん入るよ?」
「どうぞ。」


 部屋の主は徹なのに、さも自分の部屋かのように二人を招き入れた。


「わあ!はじめちゃんカッコいいね!似合ってる!」
「そうか?」


 少し照れたように笑うはじめちゃんは狼男。ワイルドなはじめちゃんに狼の耳に尻尾。なんだかドキドキしちゃう。


「ねえ、遥香ちゃん、俺の事は褒めてくれないの?」
「あー、徹もカッコいいよ。」
「感情込めて言おうね。」


 ドラキュラ伯爵の衣装に身を包んだ徹は確かにカッコよかった。きっと徹のファンが見たら失神もの。でも、男装した私に非常に良く似た徹を褒めるのは複雑極まりない。だって、こないだの発表会で私が演じたのがドラキュラ伯爵。数年後の自分を見てるかのようで気持ち悪い。私もあと四年したらこんなになるのかと思うと、なんとも言えない気持ち。いや、でもやっぱり筋肉量が違うから、四年後に私がこれを着たとしても徹と同じとはいかないか。


「てか、遥香ちゃんのそれは何?」
「フランケンシュタインだよ。」


 顔に描いた継ぎ接ぎ、頭につけた大きなネジ。鏡で確認したけど、中々リアルでキモカワイイと思う。


「魔女とかさ、なんかもっと可愛いのだと思ってたのに!」
「徹魔女が良かったの?ごめんね、女装したいとは思わなくて。」
「違うよ。遥香ちゃんの可愛い魔女が見たかったの!」
「自分で着たらいいじゃん。似たような顔なんだし。」
「ゴツくて見てられねえな。目の毒だ。」
「そんなことないよ!及川さんは女装だって完璧にこなしちゃうんだから!」


 ほっぺたを膨らませて怒る徹。女子か。女の私だってそんなに可愛く怒らないよ。…まって、それって女子力徹以下って事?凹む。


「つーか、飾り付けもだけど、これも遥香が一人で作ったのか?」


 はじめちゃんは机に置いた、料理を見てそう言った。


「うん。二人が帰ってくるまで時間あったし、オバチャンに台所借りて作ったの。」


 ハロウィンに因んだ料理たち。初めて作るものもあったけど、我ながら上手く作れたと思う。


「さあ、食べよう!ハロウィンパーティーだよ!」


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